東京都港区三田の整体院サーヴィカルテのコラム

コラム

2021.04.27

「頭痛」をもっと理解するために ― 頭痛の種類と原因、対策まで ―

悩みがあるイメージ

みなさま、こんにちは。サーヴィカルテ院長のあかおぎです。
多用な生活スタイルが生まれ、環境変化が著しい現代社会をいかがお過ごしでしょうか。

さまざまな仕事や働き方がある中で、デスクワーク主体の職種、たとえば、ITエンジニア、WEBデザイナー、事務・秘書などは、特に座っている時間も長いはずです。頭痛や肩こり、腰痛などのリスクが高い労働環境になっているのではないでしょうか。

今回はその中でも、なかなか周りに理解されにくい「頭痛」にフォーカスして、記事を書いていきます。
ここでは「より詳しく」、「できるかぎりわかりやすく」な情報をお伝えするため、長めのコラムとなります。

「知りたい情報を先に読みたい」という方は、目次をクリックしておすすみください。
それではサーヴィカルテコラムにどうぞおつきあいください。

ご注意
病気や薬に関しての情報は、医療情報として記載しておりません。病気の症状や薬の効果、副作用には個人差があります。病気や症状は自己判断せず、医療機関へ受診の上、専門の医師へご相談ください。なお、医療従事者の方は、最新の医療情報、添付文書、参考書、原著・論文をご確認いただき、そちらの情報を優先してください。

1. 頭痛について

悩みがあるイメージ

①頭痛経験者は、どれくらいいるのか?

米国で行われた調査では「成人の73%が、1年に何らかの頭痛を経験している」という調査結果があります。(*1)
また、日本人では、およそ3人に1人は頭痛を経験しており、片頭痛は8.4%、緊張型頭痛は22.3%という報告があります。(*2)

頭痛は比較的身近な病気ですが、実はその種類も原因もさまざまであり、危険で緊急性の高いものから、低いものまであります。早急な治療が必要な「危険な頭痛」ではなくとも、慢性頭痛(片頭痛や緊張型頭痛など)や一時的な頭痛(二日酔いによる頭痛など)を経験された方は、とても多いのではないでしょうか。

(*1)森本昌宏."「痛みの医学事典」締めつけるなら「緊張型」、ズキズキなら「片頭痛」、殴られたようなら緊急事態…あなたの頭痛を知ろう”.yomiDr.(ヨミドクター). https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20191225-OYTET50027/(2021/02/03)
(*2)監修 日本神経学会/日本頭痛学会. 編集 慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会. 医学書院, 2013, 349p.

②頭痛に悩んでいる人はとても多い

2019年の国民生活基礎調査によると、病気やけが等で自覚症状のある者(有訴者)は人口千人当たり、302.5となっています。特に、女性において、「頭痛」の有訴者率は、第5位となっています。 女性(1位 肩こり  2位 腰痛  3位 手足の関節が痛む  4位 体がだるい  5位 頭痛)

2019年国民生活基礎調査の概況

“2019年国民生活基礎調査の概況”.厚生労働省. .https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html.(参照2021.02.03)

・厚生労働省による国民生活基礎調査とは

全国の世帯および世帯員を対象に、保険、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査するものです。
3年ごとに大規模な調査を実施し、中間の各年は簡易な調査を実施しています。

※有訴者とは、病気やけが等で自覚症状のある人。
※有訴者率は、人口千人あたりの有訴者の比率。(百分率(%)ではないため、100を超えることもあります。)

Googleトレンドのウェブ検索における動向
過去17年間の動向を見てみると、右肩上がりで上昇しています。
頭痛・腰痛・肩こりの3つの症状を比較しても、頭痛の数値が特に高いことがわかります。

Google Trends
Google Trends

Google Trends. https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=2004-01-01%202021-01-01&geo=JP&q=%E9%A0%AD%E7%97%9B.(参照2021/02/03)

※「人気の動向」
数値は、特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したものです。100の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50の場合は人気度が半分であることを示します。0の場合はそのキーワードに対する十分なデータがなかったことを示します。

頭痛は女性に多いですが、近年は子供の頭痛もよく耳にします。あなたの身近にも頭痛で悩まれている方が多くいらっしゃいませんか。身近な方の中にも、意外に気付かずにいるかもしれません。

③医療機関への受診率

これだけ頭痛で悩まれている方が多いという現状ですが、それによってどんな問題があるとみなさんは思われるでしょうか。3大頭痛といわれる頭痛の中の1つである「片頭痛」により、労働時間の減少や社会経済学的損失があるというデータもあります。多数の片頭痛の方(84.3%)が「仕事の能率を低下する」ことを訴えているにも関わらず、医療機関への受診率は、片頭痛の方において「23.7%」と低いのです。1)

身近であるがゆえなのか、頭痛の方の医療機関への受診率が低いこともさることながら、頭痛の痛みや症状のつらさ、危険性などがあまり認知されていないようです。

慢性頭痛に悩む人の大半が薬局で薬を買っているといわれています。慢性頭痛の1つである「片頭痛」の人の過半数が薬局で薬を買い、一割の人が医療機関を受診し、残りの人は、何もしないで我慢する、とのこと。それだけ、日常的に頭痛をどうにかしたいけれど、薬を飲んで我慢している人もいると考えられます。

周囲からは「頭痛ぐらいで」、「気持ちの問題だ」と思われてしまい、本人も「迷惑をかけられない」と我慢し、鎮痛剤を服用しているケースも少なくないでしょう。薬の服用過多による頭痛の悪化や胃痛を伴うこともあるため、注意が必要です。

頭痛が「病気」であり、病院にかかるものという認識も低く、周りから理解されにくい現状が、以上のような要因となっているのではないでしょうか。

④幸せホルモンの影響

片頭痛や緊張型頭痛は、不安や抑うつなどになりやすく、こういった状態は頭痛慢性化の要因になるとされています。片頭痛とパニック障害、うつ病との関連は、セロトニンの代謝異常が発症に関わっていると言われています。1)

セロトニンは、必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質(ホルモン)のひとつです。
「幸せホルモン」と呼ばれており、日光をあびたり、一定のリズムを刻む運動を反復して行ったり、人とのふれあいなどによって、脳内で分泌されます。ドパミンやノルアドレナリンをコントロールし、精神安定の働きをしています。
また、女性ホルモンと連動しているといわれ、更年期障害にも関わりがあります。女性は、生涯において女性ホルモンの変動が大きいため、頭痛が女性に多いこともうなずけます。

ドパミン・・・快感や陶酔感に影響を与えるホルモン。アルコールを飲むことでも、ドパミンを活発にする作用がある。
ノルアドレナリン・・・交感神経に関わるホルモン。覚醒や集中力に影響。

まずは病院へ行って検査をし、異常が見つからず危険な頭痛ではないと診断されてから、次の対策を考えましょう。ご自分の病気や症状を知ることがはじめの一歩です。正しく理解し、それから対策を行うことで、つらい痛みや症状の改善を図っていきましょう。

2.頭痛の種類

TYPE

頭痛によっては、強い痛みや吐き気をともない、日常生活に支障をきたす方もいます。重度の慢性頭痛であっても「周囲から理解されにくい」、痛みの頻度が高く「薬を飲み続けている」という理由から、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
まずは一呼吸おいて、ご自身の頭痛がどのような種類のものなのかを確認しましょう。

それでは「頭痛の種類」について解説いたします。
頭痛には大きく分けて2つのタイプがあります。明確な病気がないのに起こる「一次性頭痛」と、他の病気が原因で起こる「二次性頭痛」です。

ここで気を付けていただきたいことが、「一次性頭痛、二次性頭痛、またはその両方」という考えをもって医師は診察しています。つまり、自分だけでどちらの頭痛かを決めないことが大切です。ほんの数パーセントでも二次性頭痛の可能性があるのであれば、見逃してはいけません。まずは医師の診断と検査を受けましょう。

①一次性頭痛

いわゆる「頭痛持ちの頭痛」です。頭痛患者の約90%が一次性頭痛といわれています。ほかに原因となる疾患がなく頭痛そのものが問題である頭痛です。前述にもあるような「緊張型頭痛」や「片頭痛」はよく耳にするのでないでしょうか。

【一次性頭痛の主な種類】
 ・緊張型頭痛
 ・片頭痛
 ・群発頭痛
 ・その他の一次性頭痛

※上記の「緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛」は、「3大頭痛」といわれています。

それでは、一次性頭痛の種類について解説していきます。

◯緊張型頭痛

別名:肩こり頭痛といわれることもあります。慢性頭痛の多くがこの緊張型頭痛です。日常生活で肩や首がこり固まって頭痛が起きた経験がある方は、この「緊張型頭痛」の可能性があります。

一時的対処:休憩を取り、患部を温める。マッサージやストレッチ。鎮痛剤の服用(経口薬、塗布薬)など

【緊張型頭痛の細分類】
 稀発反復性緊張型頭痛  1カ月に1日未満の頻度
 頻発反復性緊張型頭痛  1カ月に1~14日の頻度の頭痛が10回以上
 慢性緊張型頭痛       1カ月に15日以上の頻度
 緊張型頭痛の疑い
 など

◯片頭痛

頭の片側、もしくは両側が痛み、ドクドク(ズキンズキン)といった拍動性の痛みが特徴で、女性に多い頭痛です。頭痛発作の前兆として、視覚症状・感覚症状・言語症状、脱力、めまい・耳鳴り・難聴などを経験する人もいます。

具体的な前兆は、
 ・あくびや体のむくみ
 ・手足のしびれや感覚の鈍化
 ・首や肩のこり
 ・音や光や臭いに敏感になる
 ・閃輝暗点(ギザギザした光が見える)
 などです。

一時的な対処:暗く刺激の少ない場所で安静になり、患部を冷やす。早めの鎮痛剤の服用、など。

【片頭痛の細分類】
 前兆のない片頭痛   発作が4~72時間持続する
 前兆のある片頭痛   数分間持続する
 慢性片頭痛       頭痛が月に15日以上の頻度で3か月を超えて起こり、少なくとも月に8日の頭痛は片頭痛の特徴をもつ
 片頭痛の合併症    片頭痛性脳梗塞など
 片頭痛の疑い      ―
 片頭痛に関連する周期性症候群  必ずしも頭痛を伴わない体の変調が周期的に現れる。周期性嘔吐や腹部片頭痛、小児良性発作性めまいなどをまとめたもの。後年になって片頭痛に移行することが多いとされる。 など

【緊張型頭痛と片頭痛との見分け方】
簡単な見分け方として、頭痛の際に体を動かすと楽になる場合は「緊張型頭痛」、逆に悪化する場合は「片頭痛」とされています。片頭痛は、頭痛時に吐き気をともなったり、音や光に敏感になる場合があります。
緊張型頭痛と併発している方もいます。なお、どの頭痛にあてはまるかの正式なチェック方法がありますので、医師の診断を受けていただくことをおすすめいたします。

◯群発頭痛

三叉神経・自律神経性頭痛のうちの1つ。比較的まれな頭痛で、女性より男性に多くみられます。 決まった片側の目の奥が激しく痛む頭痛で、毎日同じ時間に起こることが多く、発作が起こると数カ月続きます。
世界三大疼痛のうちの一つと言われています(三大疼痛の残りの二つは、心筋梗塞・尿路結石)。激痛と言われており、症状がでると横になることができず、歩き回ったり、壁に頭を打ち付けたりする場合もあります。

一時的な対処:深呼吸や高濃度の酸素吸入。注射薬など。

【三叉神経・自律神経性頭痛の細分類】
 群発頭痛        15~180分間持続。頻度は、1回/2日~8回/日
 発作性片側頭痛   2~30分間持続。頻度は1日に数回以上。
 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
     数秒~数分間持続。頻度は1日に1回以上。
 持続性片側頭痛   落ち着きのなさや興奮した様子を伴うことがある。インドメタシンが効果を示す。
 三叉神経・自律神経性頭痛の疑い
 など

◯その他の一次性頭痛

緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛ともに、頭痛の起こるメカニズムに関する研究は進められていますが、その原因のすべては未だはっきりとはわかっていません。

②二次性頭痛

原因がはっきりとある頭痛であり、緊急性の高い頭痛で、命にかかわるものがあります。頭痛患者の約10%が二次性頭痛といわれています。原因には、外傷・傷害、血管障害、非血管性頭蓋内疾患(自己免疫疾患)、物質またはその離脱、感染症、精神疾患、脳腫瘍などがあります。
薬物乱用頭痛という、薬の飲み過ぎが原因による頭痛もあります。薬の用法・用量を守って正しく使いましょう。

【二次性頭痛の例】
 - くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞などの脳血管障害
 - 脳腫瘍
 - 髄膜炎
 - 脳炎
 - 脳動脈乖離(のうどうみゃくかいり)
 - 側頭動脈炎
 など

③その他、さまざまな頭痛

以下のものは、国際頭痛分類に記載されている一次性頭痛です。(症状の詳細によって、二次性頭痛に分類されるケースもあります)
・一次性咳嗽性頭痛(いちじせいがいそうせいずつう):咳(せき)、またはいきみによる頭痛
・一次性運動時頭痛:運動によるもの
・性行為に伴う一次性頭痛:性行為によって起こる頭痛
・一次性雷鳴頭痛:突発する重度の頭痛
・寒冷刺激による頭痛
 - 外的寒冷刺激による頭痛:極寒に頭部がさらされた後の頭痛
 - 冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛:冷たいものを食べることによって、感受性の高い人で起こる、短時間で強い頭痛(アイスクリームなど)
・頭蓋外からの圧力による頭痛
 - 頭蓋外からの圧迫による頭痛:きついバンドやヘルメット、水中ゴーグルなどの圧迫による頭痛
 - 頭蓋外からの牽引による頭痛:牽引による頭痛(ポニーテールなど)
・一次性穿刺様頭痛:一過性かつ局所性の頭を刺すような頭痛
・貨幣状頭痛:頭皮の小さい範囲(コインの大きさくらい)に、持続時間がばらばらで、しばしば慢性となる頭痛
・睡眠時頭痛:睡眠中に繰り返し起こる頭痛
・新規発症持続性連日性頭痛:3か月を超えて連日続く頭痛

以下のものは、国際頭痛分類に記載されている二次性頭痛です。
・頭頸部外傷・傷害による頭痛
・頭頸部血管障害による頭痛
・非血管性頭蓋内疾患による頭痛
・物質またはその離脱による頭痛(これに分類される代表的なもので、以前に使用されていた用語の一部→ホットドッグ頭痛(*1)、二日酔い頭痛(*2))
・感染症による頭痛
・ホメオスターシス障害による頭痛
・頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛または顔面痛
・精神疾患による頭痛

(*1)「ホットドッグ頭痛」は、現在、即時型一酸化窒素供与体誘発頭痛に分類されます。ホットドッグ、サラミ、ハムなど(亜硝酸塩よる影響)を食べたときに起こる頭痛です。
(*2)「二日酔い頭痛」は、現在「遅延型アルコール誘発頭痛」に分類されます。アルコールの摂取後、数時間後に生じる頭痛であり、72時間以内に自然消失します。

【小児の頭痛】
近年、小中学生の頭痛も問題となっています。主なものでは、片頭痛、緊張型頭痛、起立性調節障害などです。
2018年に埼玉県さいたま市の小中学生に行われたアンケートによると、過去3か月に何らかの頭痛を経験したという割合(頭痛有病率)は、74.5%もいたようです。(有病率:ある一時点で疾病を有している人の割合)

埼玉県さいたま市内の公立小・中学校それぞれ10校を対象に2018年9月から12月の2学期において頭痛アンケート調査。対象は,小学生 2316 名(4~6年生),中学生 3944名(1~3年生)の計6260名。 (参考:日本頭痛学会HP)

3.頭痛のメカニズム「知りたいけれど、ちょっと難しいお話し」

歯車のイメージ

①緊張型頭痛のメカニズム

頭痛の中でも割合が高い頭痛が「緊張型頭痛」ですが、病態や発症機序など、不明な点が多い頭痛でもあります。一次性頭痛のなかで最も研究がすすんでいない疾患の1つとされています。

筋肉や神経などにある痛みに対する受容体が関与する「末梢性」と、三叉神経経由で脳幹や大脳などが関与する「中枢性」のメカニズムがあるとされています。

②片頭痛のメカニズム

片頭痛は家族内での発症が多く、遺伝的影響が大きいと考えられています。ただし、まだ詳細はわかっていません。
また、片頭痛には、3つの説「血管説、神経節、三叉神経血管説」とそれらを合わせた説があるとされています。

血管説

血管が収縮し脳血流が低下して、前兆の症状が現れて、発作時には血管が拡張して頭痛が生じるという説です。
しかし、現在は血管の疾患ではないとされ、「三叉神経血管説」が有力とされています。

神経説

脳の神経細胞の活動異常(大脳皮質拡延性抑制(cortical spreading depression; CSD)が原因という説です。

三叉神経血管説

ストレスなどなんらかの刺激が三叉神経に作用し、神経伝達物質が放出され、血管拡張や血管周囲の炎症が起こり、痛みが生じるという説です。

3つを合わせた説

大脳皮質拡延性抑制(CSD)が大脳に生じ前兆をきたし、その後三叉神経血管系が活性化され頭痛が起こるという考えです。

まだ解明されていないことも多く、今後の研究結果に期待したいところです。

③群発頭痛のメカニズム

男性に多く、群発頭痛の人の一親等に「群発頭痛」をもつ確率は高く、環境と遺伝が関係することが考えられています。また、原因すべてが判明してはいませんが、主に4つの説がありますが、代表的なものでは、視床下部という脳の奥に位置する部分が活性化しているため、という説があります。

群発頭痛の頭痛発作時に、この視床下部が活性化していることは、研究で証明されています。頭痛のなかでも、群発頭痛の割合はとても低いため、これから研究をすすめていく上ではデータが得られにくいと考えられます。

4.頭痛のきっかけとは?

ひらめきのイメージ

①薬物乱用頭痛が起こる理由

「薬物乱用頭痛」とは、一言で簡単にいうと、「薬の飲みすぎによって起こる頭痛」です。 こちらのコラムをお読みいただいている方は、慢性頭痛の方も多いのではないでしょうか。そのため、見落としがちな「薬物乱用頭痛」を最初にご紹介いたします。

副作用の全くない薬はないと言われています。それは、薬が一つだけの作用をもっているわけではなく、通常いくつかの作用を併せもっているためです。

薬には「主作用」と「副作用」があり、病気の目的に合わない作用が「副作用」となります。副作用は、量や体質によって起こりますが、それを踏まえて医師が薬を処方します。

自己判断で服薬の中断や、服薬方法を変える(増やす・減らす、など)のではなく、薬や症状のコントロールができてから、薬を減らしていく方向へ舵を切るべきではないでしょうか。

まずは、医師や薬剤師の指導の下、用法・用量を守って正しく服用することで、薬物乱用頭痛は防げるはずです。

②緊張型頭痛の誘発、悪化させるもの

ストレス
精神的緊張
疲れ
睡眠
月経周期
天候の変化
温度差
頻回の旅行
におい
空腹
口・顎部の機能異常
運動不足
うつ向き姿勢

血行不良が起こることにより、緊張型頭痛の引き金になるといわれています。長時間のデスクワークや同じ姿勢を続けることでも起こるため、日頃の習慣がとても大切です。こまめに休憩を取ることも意識しましょう。

③片頭痛の誘発、悪化させるもの

【食事性因子】
・空腹→低血糖によって引き起こされると言われています。
・アルコール
・嗜好品(個人によって反応が異なります)
赤ワイン、オリーブオイル
 - ポリフェノールが含まれており、血行促進作用があります。チョコレート、ココアにも含まれています。
 - 多量の飲酒も血管拡張作用があるため、片頭痛が起こりやすいとされています。
 - 特に赤ワインに含まれるポリフェノールとヒスタミンは血管拡張作用があります。

チーズ(特に熟成度が高いブルーチーズなど)・漬物・ナッツ類
 - 「チラミン」という物質が含まれています。チーズはチラミンの含有量が特に多い食品です。
 - 血管収縮作用があり、収縮後に反動で血管拡張を起こすため、片頭痛の原因となると言われています。
 - チーズ以外のチラミンの含有量が多い食品は、チョコレート・ココア・生ハム・サラミ・柑橘類・玉ねぎ・ナッツなどです。

中華料理・インスタント食品・うまみ調味料(化学調味料)
 - グルタミン酸ナトリウム(MSG)が入っているものです。これはうまみ成分の1つで、スナック菓子などにも含まれます。

  ベーコン・ホットドッグ・サラミ・塩漬け肉
 - 硝酸塩を含むもの

食べ合わせよって片頭痛が起こった可能性がある、という医師の記事もあります。

片頭痛の引き金となる「食べ合わせのワナ」 |
北原 雅樹 :ペインクリニック専門医、麻酔科医.”片頭痛の引き金となる「食べ合わせのワナ」”.東洋経済ONLINE.2018/08/306:00.https://toyokeizai.net/articles/-/232698(参照2021-02-01)

上記の食べ物は、すべての人にあてはまるわけではありません。片頭痛に対して一定のリスクがある食べ物はありますが、必ず頭痛になるともいいきれない、と考えられています。

例えばナッツに感受性がある人が、そのナッツを食べることによって頭痛が誘発される、というわけです。(その時の体調や摂取量なども考慮する必要があるでしょう。)つまり、ナッツを食べてもナッツに対して感受性がなければ、必ず頭痛になるとはいえない、ということです。

「気付いたときに避ける程度、あるいは自分で食べてみで頭痛回数が増えたと思うようなものを避けてみる程度でもよい」、と提案している医師もいます。たしかに、そうでなければ食べられるものがかなり限られてしまいます。また、「食べ過ぎや偏った食べ方には気を付ける」という一般的な食事方法は、健康を意識されるのであれば、時代や人に関わらず共通しているのではないでしょうか。

ここでご注意いただきたい点は、今回の情報は「ある特定の物質の摂取によって引き起こされる頭痛」についてであり、「食物アレルギーによるアレルギー反応(頭痛)」ではありません。アレルギー反応も疑われる場合は、その旨も合わせて医師にご相談ください。

【精神的因子】 ・ストレス、精神的緊張
緊張やストレスによっても影響を受けます。抱えていたストレスから解放される仕事終わりなどに起こることもあります。
・睡眠(寝不足、寝過ぎ)
・疲れ

【環境因子】
・気候の変化
気圧が変動することによる血管拡張作用のため、片頭痛の方は頭痛が起こるとされています。 天気予防を参考にしたり、気圧の変化を見るスマホアプリもあります。
・温度差
・頻回の旅行
・におい

【月経前・月経中などのホルモンバランスの変化】
経口避妊薬やホルモン療法で頭痛が悪化することがあるようです。

④群発頭痛の誘発、悪化させるもの

アルコール
喫煙
ニトログリセリン、ヒスタミン

群発頭痛の方は、一般人口に比べて喫煙歴やアルコール歴を有する率が高いとの報告もあります。

⑤その他

頭痛だけではなく、体の不調の原因として以下のことも合わせて考えみる必要があるのではないでしょうか。

【姿勢の悪さ】
 - 体の筋肉の付き方が偏りバランスが崩れることで、骨格の歪みが起こる

【骨格の歪み】
 - 血流・リンパの流れが悪くなる
 - 神経を圧迫

【血流・リンパの循環不良】

  • 免疫力の低下
     - 自律神経失調症
     - 慢性疲労

◯姿勢を正すことで、下記のような改善を図りましょう。
 - 全身のバランスが整う
 - 筋・筋膜が緩む
 - 骨格の歪みの原因となる負担の軽減
 - 体の柔軟性の改善(関節の可動域の向上)
 - 肩こり・腰痛・ぽっこりお腹など解消
 - 血流・リンパの流れがスムーズに
 - 全身の新陳代謝アップ
 - 免疫力向上
 - 冷え・むくみの緩和

5.対策「頭痛をなんとかしたい!どうすればよい?」

犬と猫が病院の横に座っているイメージ

頭痛のメカニズムがすべて解明されていないと前述しましたが、それでは対策はまったくないのでしょうか。そんなことはありません。まずは自分の症状を知ること、そして自分を労わることが大切です。 もし、つらい痛みや症状が今も続いているのであれば、心身ともに負担も大きく、日常生活への影響も少なくないはずです。

「現状のまま、がまんを続ける」を抜け出し、今より症状が楽になるための一歩を踏み出しましょう。

薬を飲み続けるのが怖いため、「すぐに服用をやめる」というのはおすすめできません。薬とセルフケア(自己管理)を組み合わせることで、一番リスクが少なく、体の負担も少ないのではないでしょうか。

それでは優先順位の高いものから、順を追ってご紹介いたします。

①まずは医療機関へ

頭痛には、命に関わる危険な病気もあります。「くも膜下出血」や「髄膜炎」などです。おかしいなと思ったら自己判断せず、まずは最寄りの医療機関やかかりつけ医に相談することが大切です。

【早急に受診すべきケース】
 - 突然の頭痛
 - 初めて頭痛を経験した場合
 - 今までに経験したことのない頭痛
 - だんだん悪化していく頭痛
 - 発熱を伴う頭痛など
 - 麻痺、しびれ、言葉のもつれをともなう頭痛
 - 頭部打撲後に出始めた頭痛など

上記のような場合や、少しでも変だと感じた時は、できるだけ早く医療機関を受診し、検査しましょう。

②どの診療科にいけばよい?

それでは、どの診療科を選べばよいのでしょうか。
以下は全て、病院やクリニックなどの医療機関に属します。

【頭痛外来】
頭痛専門に設けられた窓口。
医療機関外の場所でも「頭痛外来」という言葉を使用している所があるため、間違えないように注意が必要です。

【脳神経外科】
脳、脊髄、末梢神経などを含めた神経系全般の中で、主に外科的治療(手術)の対象となりうる病気をみる診療科。

【脳神経内科(神経内科)】
脳、脊髄、末梢神経、筋肉の病気など、全身を診ることができる内科。
どこの病気であるのかを見極めることが得意な診療科でもあります。

【内科】
内臓の病気を、手術をせずに治療する診療科。
内科にも専門があり、循環器内科・消化器内科・糖尿病内科・脳神経内科などがあります。

・ペインクリニック(ペインクリニック内科)
痛みを主とする病気を診断、治療する場所です。おもに神経ブロック療法(麻酔の注射で痛みを感じなくする方法)を用いた治療を中心としますが、西洋薬・漢方薬や理学療法も用いたりします。

・かかりつけ医
「かかりつけ医」がいる場合は、まずはそちらに相談をする方法もあります。

③医療機関で行われること

・問診
まず初めに問診票に記入します。問診票は、後に看護師や医療スタッフと話す際、医師との診察時にも使用されます。病気を知るために、問診は特に大切なものです。もれなくしっかり記入しましょう。

問診で答えることは
 - 頭痛の発症日時(今日、数時間前、数日前、など)
 - 痛みの発症時の様子(痛みの始まり方)
 - 痛みの持続時間、頻度
 - 痛みの部位や痛み方(痛みの性状)
 - 頭痛以外の症状や日常生活の過ごし方
 - 嗜好品(お酒、コーヒー、紅茶、チョコレートなど)
 - 今かかっている病気(現病歴・既往歴・手術歴)
 - 今までにかかった病気や受けた手術。
 - 家族がかかったことのある病気(家族歴)
 - 遺伝的・環境的な因子をみるために必要です
 - 服用している薬
などがあります。

ところで、みなさんは病院やクリニックに行くと緊張される方ですか。緊張したり、血圧が上がる方もいると思います。
事前に、上記の項目をメモしていくことで、問診や診察の時に、落ち着いて記入したり話したりすることができます。

医療機関にかかる際は、薬手帳と合わせて、自身の症状をまとめたメモを持参することで、問診や診察時に役に立つことがありますので、よろしければお試しください。

後述の「頭痛ダイアリー(手帳型のものとスマホアプリがあります)」を使用することで、症状などを簡単に記録することができます。

なお、状況によりますが、通院時にご家族が付き添える場合はご一緒されることで、問診・診察がスムーズに行えたり、診察時の医師との会話内容や服薬指導なども共有することができます。

・診察
患者さんが診察室への入室時から、姿勢や歩行などを観察することからすでに始まっています。(「神経学的診察」と言われています)
意識せず、いつもどおりに入室なさってください。

・検査
主な検査の種類
【CT】
CTは、「Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)」の略です。X線検査と同様のX線を利用して体内の状態を断面像として描写する検査です。撮影したデータをもとに三次元の画像をつくることもあります。撮影する体の部分についているアクセサリー(金属)などをはずして検査を行います。ヘアピン・ピアス・ネックレスなど、不要なものはあらかじめ取り外しておきましょう。

骨が良く見えるため、頭部の外傷に有用です。血管を見る時は造影剤を使ったCT検査をすることがあります。これを「造影CT検査」といいます。また、造影剤を使わないCT検査は、「単純CT検査」と言います。

「検査時間」は、5~10分程度です。造影CT検査は、10~20分程度と長くなります。 機械の性能や検査項目にもよりますが、頭の単純CT検査の「撮影時間」自体は5分もかからずに終わることがほとんどです。

・造影CT
血管に造影剤という薬剤を注入してCTで撮影をする検査です。

・単純CT
造影剤を使用しないCT検査。施設によっては、予約がなくても検査できるところもあります。

MRI検査に比べ、短時間であるメリットがあります。通常は予約不要であり(医療機関によります)、MRI検査に比べ、比較的簡便な検査です。
ただし、CTでは異常が確認できない脳病変が疑われる場合やその他理由などにより、MRI検査を「追加、もしくは最初から受ける」ことがあります。

ほとんどの脳の病気はCTでわかると言われていますが、CT検査、MRI検査、それぞれに得意、不得意な病気があり、医師の判断が必要となります。

【MRI】
MRIは、「Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置」の略です。
磁気の力を利用して臓器や血管、関節などを撮影する検査です。時間は頭部であれば、20~30分が目安です。(機械の性能や検査内容によって異なります)

予約が必要になることが多い検査であり、着替えや検査前のチェックなどにも、やや時間がかかる検査です。
大きな機械音と振動の中で、筒状の機械の中におよそ20分以上動かずにいるため、人によっては苦手という方もいます。特に強度の閉所恐怖症の方は、検査が続けられない方もいらっしゃいます。(閉所恐怖症の方では、まれにCT検査でも閉塞感を感じる方もいらっしゃいます)

また、手術などによって体内に金属が入っている場合は、検査を受けられないこともあります。

【頚椎(首の骨)のレントゲン】
レントゲンは、X線(放射線)を体にあて、画像化する検査です。主に骨の変形や骨折などをチェックします。白黒の骨の写真を、メディアや医療機関などで、一度は見たことがあると思います。ちなみに「レントゲン」とは、X線を発見したレントゲン博士(Wilhelm Conrad Röntgen)からとられた名称です。

X線の透過率の差を画像にしており、透過率が低いところ(固い組織)が白くなります。そのため、空気は黒く、骨は白く写ります。黒い所(または白い所)が悪い部分、というわけではありません。

単純X線撮影(一般撮影)検査、とも言われます。レントゲン(検査)は通称ですが、多くの方は「レントゲン」という呼び方に馴染みがあるのではないでしょうか。

頭痛に関連して検査する際のレントゲンは、頚椎の状態を調べることが多いです。例えば、緊張型頭痛が疑われたり、片頭痛の際に肩こりや首こりが強い場合に行われることがあります。このような人には、高い確率でストレートネック(頚椎の直線化と言われます)が見られると言われます。

また、頚椎の椎体(骨)や椎間板(骨と骨の間の組織)に異常が見られることもありますが、これはMRI検査でチェックされます。

【血液検査】
採血検査です。頭痛の原因は頭だけではありません。そのため、内科の病気によって発症する頭痛の可能性を調べるために血液検査を行うことで、全身をチェックします。

熱があり炎症がある場合やホルモンの異常が疑われる場合に行わることがあります。甲状腺機能異常(バゼドウ病や橋本病)、MRIで確認するのも困難な小さな脳腫瘍などをチェックします。検査項目や施設によって、検査結果が4~5日かかることがあるため、再診では、1~2週間後となることもあります。

特に注意が必要なことは、何の検査を行うかは「医師が決める」ということです。医師の診断のもとに必要と判断された検査が行われます。症状がないけれど、この際しっかり検査を受けたいと思った場合は、医師にご相談ください。なお、病気でない場合は、脳ドッグや人間ドッグなど、民間の健診施設で検査を受ける方法もあります。

検査のコースやオプションを選べる施設が多く、受けたい検査を選ぶことも可能です。お住まいの市町村、ご所属の健康保険協会または健康保険組合、契約している保険会社によっては、補助金や助成金が支給される場合もありますので、調べてみてください。

お勤め先の会社や市町村によって行われる健康診断を受ける場合は、基本検査項目が決められているため、CTやMRI検査など、受けたい検査が必ず受けられるわけではありません。

現在、頭痛薬を飲まれている方で「薬の種類や服用方法」が心配な場合は、専門の医療機関を受診し、症状と合わせて相談することも必要です。

④薬について

まず薬は市販薬と処方薬に分けられます。 市販薬は、薬局やドラッグストア、場所によってはコンビニエンスストアなどでも購入できるものです。 処方薬は、医師の処方によってもらえる薬です。

処方薬の方が市販薬より強い薬も扱っていますが、市販薬であっても油断は禁物です。風邪薬や漢方薬などでも副作用が報告されています。添付文書の記載内容を確認し、「用法・用量を守って正しく使うこと」が重要です。

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 https://www.pmda.go.jp/files/000144665.pdf

⑤頭痛薬の種類

【鎮痛解熱剤(非ステロイド性抗炎症薬)】
市販薬でいうと、バファリン、イブ、ロキソニン、ボルタレン、などです。

【片頭痛薬】
現在の片頭痛薬による主な治療は、急性期治療と予防療法の2つです。
・急性期治療  頭痛の発作時に服用して痛みをおさえる。
・予防療法   毎日、薬を定期的に服用し、頭痛の回数を減らす。

比較的新しい片頭痛の治療法として「予兆療法」というものもあります。
※かく脳神経外科クリニック 院長 郭泰植先生が学会発表されたものです。
https://www.kaku-neurosurgery.com/yotyou.html

・急性期治療薬(トリプタン製剤)
トリプタン系製剤は、片頭痛に特化した薬です。
代表的な薬 - イミグラン、マクサルト、レルパックス、ゾーミック、アマージなど。
1カ月に10回以上トリプタンを使う状態が3か月以上続くと、「薬物乱用頭痛」が発生するといわれています。回数が増えてきた場合は医師への相談が必要です。服用方法にも注意が必要なので、後述の頭痛ダイアリーの使用をおすすめします。

急性期治療薬は一般的な薬と比較し、保険を使用しても高価なのがネックです。

・予防薬
痛くなる前に痛みをおさえる薬です。
代表的な薬
・カルシウム拮抗薬 - ミグシス
・β遮断薬 - インデラル
・抗てんかん薬 - デパケン・イーケプラ

その他にもさまざまな薬が予防薬としてあります。
片頭痛の発作があり、発作時の薬だけでは不十分な時に、予防薬が検討されます。自分の体や症状を知り、適切に薬を服用するタイミングを知ることで、より効果的に薬を使用する方法がわかります。

【群発頭痛薬】
片頭痛薬でも使用されている「イミグラン」というものがあります。群発頭痛の場合はこの薬を自己注射します。糖尿病の方がインスリンを自己注射するように、皮下に自分で注射するものですが、あまり普及していないようです。これは保険適用となっています。

スマトリプタン(イミグラン)の点鼻薬、ゾルミトリプタンの経口薬・点鼻薬は、有効性の報告がありますが、2021年2月現在、保険適用外となっています。

・群発頭痛の予防療法
 - 有効な治療法が少なく、確立されている方法があまりないのが現状です。
 - カルシウム拮抗薬であるベラパミルの予防効果が海外で確認されているようです。
 - 徐脈や心不全の合併などの注意が必要です。(保険適用外)
 - 酒石酸エルゴタミン
 - 就寝前の予防内服が有効なこともあるとされています。

ステロイドの使用が日本でも認められていますが、現在(2021年2月)保険適用外です。

・薬物療法以外の療法
高濃度の酸素吸入というものがあります。これは昔から有効とされているもので、近年保険適用になりました。しかし、現行の治療で軽快される方には保険適用外であるのがデメリットです。

その他
 - 神経ブロック療法
 - 三叉神経根切除・翼口蓋神経節切除
 - ガンマナイフによる治療
 - 脳深部刺激療法
 - 大後頭神経の電気刺激
上記以外でも、ステロイド注入などがあります。

【漢方】
鎮痛剤としてあまりなじみがないかもしれませんが、頭痛に使用できる漢方薬もあります。
漢方薬は副作用が少なく、全身にはたらきかけ、自然治癒力を高めて体を整えるとされています。

・葛根湯(かっこんとう)
 - かぜの初期、肩こり、頭痛。
 - 添付文書の「効能または効果」→自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症 :感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

・呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
 - 冷え性の片頭痛
 - 添付文書の効能または効果「手足の冷えやすい中等度以下の体力のものの次の諸症:習慣性偏頭痛、習慣性頭痛、嘔吐、脚気衝心」

・釣藤散(ちょうとうさん)
 - 慢性頭痛、高血圧傾向
 - 添付文書の「効能又は効果」→「慢性に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの」

・五苓散(ごれいさん)
 - 下痢、急性胃腸炎、二日酔い、頭痛。
 - 添付文書の「効能又は効果」
→「口渇、尿量減少するものの次の諸症:浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病」 などがあります。

⑥薬以外の対策

薬以外の対策として、自らできることがあります。(セルフケア)
その中でも最初にするべきこと。それは、自分自身の体の現状を知ることです。

◯記録
まずは、頭痛の記録を取ることから始めましょう。ご存じの方も多いと思いますが、「頭痛ダイアリー」といわれるものです。頭痛ダイアリーには、「冊子」や「スマホアプリ」があります。

「頭痛ダイアリー」(紙に印刷して使用) 日本頭痛学会(日本頭痛学会のHPからPDFをダウンロードできます。) “頭痛ダイアリーで頭痛を攻略”.一般社団法人 日本頭痛学会. 2021.01.18. https://www.jhsnet.net/dr_medical_diary.html(参照2021.02.03)

「頭痛に関する記録アプリ」
・頭痛ーる(App Store、Google Play)
 - 天気と気圧、そして気圧変化を見て体調管理するアプリです。見やすくわかりやすい便利なアプリです。
「痛み」と「くすり」の記録もできます
 - アプリの世界版があったり、Twitter、Webサイトまであり、充実しています。

・頭痛ろぐ(App Store)
 - 頭痛記録アプリランキング世界No.1
 - 頭痛をアプリで簡単に記録できます。記録することで、自分の行動と頭痛の関係を理解するのに役立ちます。

・Migraine Buddy - The Migraine and Headache Tracker(Google Play)

現在、「お薬手帳」もアプリになっています。
20021年2月現時点では、すべての薬局で使用できるわけではありませんが、これがさらに普及すれば、お薬手帳を忘れることもなくなるでしょう。ただし、紙のお薬手帳の良さもあるので、どちらが自分にとって合っているかをしっかり確認していただきたいと思います。

◯生活習慣
生活習慣の改善もとても大切です。(正しい姿勢・適度な運動・バランスの取れた食事・必要十分な睡眠時間・適度リラックス時間をもつ・過剰な刺激をさける、など)
姿勢が悪かったり、運動不足が続いたりすると筋肉が硬くなり、頭痛のリスクとなりえるでしょう。 それでは、具体的な生活習慣における対策方法をご紹介していきます。

【姿勢】
姿勢を正し、体に負担の少ない状態を保つ
 - 立ち姿勢
前後左右のバランスがとれているか、猫背や反り腰になっていないか
 - 座り姿勢
骨盤をたてて座っているか、脚を組んでいないか
 - 歩行姿勢
体重移動がスムーズにできているか、前のめりになっていないか。
 - 日常生活動作
重いものを持つ時の体の使い方や力の入れ方

すべての姿勢において、体の負担が少ない姿勢をとりましょう。

【体操】
最近体をしっかり動かしたのはいつですか。大人になると運動する機会が一気に減り、運動不足になりがちです。また、仕事などで同じ姿勢を長時間続けることで、姿勢が悪化しやすくなります。一日の中でもこまめに休憩をとったり、日頃から体を動かすことを意識してみましょう。

・頭痛体操
坂井文彦先生監修の頭痛体操
https://saitama-ni.com/wp-content/uploads/2020/03/zutuu_taisou.pdf

・ラジオ体操
ラジオやテレビだけではなく、YouTube動画でも視聴できます。
YouTube(NHK ラジオ体操第1)
https://www.youtube.com/watch?v=feSVtC1BSeQ&t=1s
ラジオ体操の図解
https://www4.nhk.or.jp/radio-taisou/23/?cid=dchk-yt-2004-04-st

ほとんどの方が子供の頃に経験しており、職場でも行っている所があるほど身近な体操です。また、すきま時間に、簡単な動きで行える手軽さも魅力です。体のかたさをチェックする意味でも、ぜひ一度試してみてください。現在のあなたの体の状態が、とてもよく実感できるはずです。

【運動やセルフケア】
体操以外で、効率的に「体を動かす習慣」として行いやすいものをいつくかご紹介します。
頭痛対策だけではなく、日頃から体を動かす習慣を身につけたい方にもおすすめです。

・ヨガ
古代インド発祥の修行法をもとにした運動法です。「ヨガ」はサンスクリット語で「つながり」を意味します。今では、心身の健康法として利用されています。特徴として、体の姿勢、呼吸法(腹式呼吸)、瞑想、哲学などが組み合わされており、多くの種類があります。

・ピラティス
ドイツの従軍看護士「ジョセフ・H・ピラティス」によって、第一次大戦の負傷兵のリハビリのために、ヨガや太極拳の要素を取り入れたエクササイズとして開発されました。特徴は、胸式ラテラル呼吸という特別な呼吸法と体幹の強化です。体幹(深層筋:インナーマッスル)を鍛えることで、正しい姿勢を作ります。

・ストレッチ
(i)動的ストレッチ
筋肉を伸ばした状態からリズミカルに反動を利用して行うストレッチです。
ウォーミングアップなどで使われます。ラジオ体操も動的ストレッチの一つです。
(ii)静的ストレッチ
筋肉を伸ばした状態で反動をつけずに、一定時間保持するストレッチです。
深呼吸を使いながら行うことで、リラックスすることができます。

・リラクゼーション法
ゆっくりとした呼吸や平穏な気分の状態にすることや呼吸法などです。瞑想やヨガなどの心身鍛錬も含まれます。海外では、頭痛を含めた様々な症状に対して効果があるという報告があります。 米国では、様々な疾患の症状(ストレス、高血圧、慢性疼痛、不眠症、うつ病、陣痛、頭痛、心血管障害、不安、化学療法の副作用など)を治療、予防または緩和するために包括的な計画の一部として用いられることがあります。

・セルフマッサージ
文字通り、自分自身で行うマッサージです。日頃の疲れをため込まないためにもおすすめです。マッサージグッズや自身の手(こぶし、手のひら)や腕、肘などを使ってマッサージする方法もあります。

・アロマテラピー、アロマトリートメント
アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を用いて、心身の健康やリラクゼーションに役立てていく自然療法です。日本でも医療現場でアロマテラピーを導入している所もあります。
アロマトリートメントは、精油を植物油で希釈したトリートメントオイルを肌にやさしく塗布するものです。タッチングと香りの相乗効果により、ホルモンバランスを整え、心身をリラックスさせます。

以上のような、血行を促進するもの、副交感神経を刺激するものは、体のコリやハリの緩和効果や心身のリラックス効果が期待できます。

【食事】
頭痛に限らず健康を考えるのであれば、毎日の食事からです。体の栄養素は、日頃の口にしている食べ物から摂取しています。食事が体の土台をつくっているのです。栄養バランスの取れた「食事」を心掛けましょう。

ここでは、慢性頭痛の1つである「片頭痛」によいとされるものをご紹介します。

 - マグネシウム
骨の弾性維持、神経伝達、体液の平行維持、ホルモン分泌とその活性発現、筋収縮などに機能しています。
とうもろこし、玄米、納豆や豆腐などの大豆製品、あおさ・わかめ・ひじきなどの海藻類、ほうれん草、魚介類、ゴマやナッツ類などに多く含まれます。
ただし、ナッツ類にはチラミンも多く含まれています。前述の頭痛を誘発する可能性のある食品の1つですので、体に合わない場合や食べ過ぎにはご注意ください。

 - ビタミンB2
ビタミンB2は、栄養素の代謝に関与しています。そして、成長促進・皮膚や粘膜の保護といった働きがあります。発育のビタミンとも呼ばれています。動脈硬化の原因ともなる過酸化物質を抑える働きがあります。
レバー、うなぎ、カレイなどの魚類、卵黄などに多く含まれます。その他にも蛙、納豆、乳製品も比較的多く含まれています。

 - パレテノライド
ハーブの一種の「フィーバーフュー(ナツシロギク)は、古くから片頭痛予防に用いられてきており、有効性も認められています。パレテノライドという成分が、片頭痛の引き金となるセロトニンを抑えるといわれています。ハーブティとしても販売されていますが、それだけでは苦みが強いハーブなので、飲むときは工夫が必要です。また、子宮収縮作用があるため、妊婦の方はご注意ください。

頭痛を誘発される食材は人それぞれであり、一概にその食材を食べると必ず頭痛になるというわけではありませんが、摂り過ぎには注意が必要です。日頃から栄養を考え、食事バランスを意識してみましょう。
“食事バランスガイド早分かり”. 農林水産省.https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/guide.html. (参照2021.02.03)

【睡眠】
睡眠不足が原因となって頭痛が起こることもあります。個人差はありますが、ショートスリーパーなどを除き、一般的に6~8時間の睡眠時間が必要とされています。日本人は先進諸国の中で、睡眠時間が短いとされています。また、睡眠時間だけでなく、睡眠の質も大切です。

日中に日光をあびることで体内時計がリセットされ、夜の睡眠サイクルに影響がでると言われています。毎日決まった時間に起き、日光を浴びるようにしましょう。

【入浴】
全身浴で肩まで湯船に浸かることで、疲れをとります。シャワーだけでは体温が十分にあがりません。半身浴も温熱作用の効果が半減するため、全身浴がすすめられています。体が温まり、血液が循環することで、疲労を回復させます。体温上昇、血流向上による老廃物の代謝、副交感神経への刺激(リラックス効果)などが見込めます。身近で手軽にできる健康法です。ぜひ試してみましょう。

以上のことを習慣化させることが大切です。
生活習慣を見直し改善することが、大きな頭痛対策となります。

6.まとめ

POINT

頭痛は体の外に変化が見られないため、周囲につらさが伝わりにくく、理解されにくい病気の1つです。そのため、我慢し続けたり、そのまま放置して慢性化することもあります。今は小児の頭痛も増え続けており、生活スタイルの変化による影響も考えられています。

まずは医療機関を受診し、医師に総合的な相談をすることが必要です。

生活指導やヨガ指導など、「非薬物療法(薬を使わない治療)」を行っている病院もあります。薬を減らしたい、なるべく飲みたくないという方は、医師と相談の上、薬だけに頼らない方法も検討してみてはいかがでしょうか。

医療機関での一次性頭痛の治療目的は、頭痛の頻度や症状の緩和と、QOL(生活の質)を改善することといわれています。QOLを高めるためにも、生活の中における予防が大切です。虫歯にならないように毎日歯磨きをしているように、頭痛を含めた病気に対しても、日常的な「からだのケア」が必要なのです。

例えば歯が痛くなった場合、早めに歯科医院へ行って診察してもらい、虫歯であれば治療をしてもらいます。もしそれを放っておけば、虫歯のリスクが高くなると考え、歯科医院へ行くはずです。そして、虫歯の治療後も食事や生活習慣の見直しと予防(歯磨きなど)を心掛けるはずです。

同じように頭痛に関しても、痛みの緩和だけでなく、予防する方法に目が向けられるようになってきました。今も頭痛に関する研究が行われていますが、医学では原因が完全に解明されていなく、予防や対処療法が主流となっています。

健康を維持するため、病気を予防するためには、まずは今の自分の健康状態を知る必要があります。

自分のからだと向き合う時間を持つことが何よりも大切です。

7.参考資料

◯ホームページ
 - 厚生労働省
  https://www.mhlw.go.jp/index.html
 - eJIM(イージム)
  厚生労働省による「統合医療」情報発信サイト
  https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/index.html
 - 農林水産省ホームページ
  https://www.maff.go.jp/
 - 国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所
  「健康食品」の安全性・有効性情報
  https://hfnet.nibiohn.go.jp/
 - 一般社団法人 日本頭痛学会
  https://www.jhsnet.net/
 - 一般社団法人 日本神経学会
  https://www.neurology-jp.org/index.html
 - 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
  https://www.pmda.go.jp/
 - 一般社団法人 日本頭痛協会
  https://www.zutsuu-kyoukai.jp/
 - MSDマニュアル
  https://www.msdmanuals.com/ja-jp
 - コクラン
  https://www.cochrane.org/ja/evidence
 - 「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)
  https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
 - かく脳神経外科クリニック
  https://www.kaku-neurosurgery.com/
 - いのうえ内科脳神経クリニック
  https://www.inoue-i.jp/index.html
 - おおくぼ脳脊椎クリニック
  http://ohkubo-clinic.jp/
 - 頭痛OnLine
  https://zutsu-online.jp/
 - 埼玉精神神経センター
  https://saitama-ni.com/
 - 東洋経済ONLINE
  https://toyokeizai.net/
 - 頭痛ーる
  https://zutool.jp/
 - ツムラ
  https://www.tsumura.co.jp/
 - Kracie 漢方セラピー
  https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/
 - Apple App Store
  https://www.apple.com/jp/app-store/
 - Google play
  https://play.google.com/store/apps
 - YouTube
  https://www.youtube.com/

◯書籍
森本昌宏. 痛いの痛いの飛んでけ 111の痛みの話. 産経新聞出版, 2005,307p